続々と人が訪れる『フェルメール展』。ケニーもその様子を書いて紹介しました。

なんでそんなに混むの? 『フェルメール展』

『フェルメール展』が3倍楽しめる! 時を超えて届くフェルメールの魔法

日本人が持っているフェルメール作品? 『聖プラクセディス』

フェルメールについては多くの方が今回の展示会をきっかけにより深く知ったことと思います。

ところで美術館を訪れて、フェルメール以外のオランダの画家達の作品についてはどのような感想を持たれたでしょうか。オランダ絵画は、実は

①ルネサンスに代表されるイタリア中世

②近代絵画で大きな存在感を放つフランス印象派

に引けを取らない、美術史上でも多彩な作品と独特の世界で存在感が半端ではありません。近年、ようやくレンブラントやフェルメールで火がついたオランダ絵画の人気。他にはゴッホがオランダの巨匠として別格の存在感を保っています。

では、それ以外の画家達は? ブリューゲルやルーベンス、ファン・アイクらの名前が頭に浮かぶ人もいます。が、彼らはベルギーで活躍した画家達で、正しくはオランダの画家ではありません。

今回の展示作品総数は約50点。うちフェルメールの作品は8点なので8割強はそれ以外の同時期の17世紀オランダ画家の作品群になります。『フェルメール展』を訪れた方はそのフェルメール作品以外の展示にも大きな興味を惹かれたはずです。その完成度の高さや表現の豊かさに、フェルメールの作品同様舌を巻いた事でしょう。

この4人だけは知っておきたい

レンブラントなどのビッグネームは例外として、日本で一般的によく知られるオランダの画家はまだまだ少ないのが実情。日本ではオランダという国の絵画へ認知がさほどではないからだとおもいますが、これは実にもったいないっ!

そこで、この名前だけ知っていれば、よりオランダ黄金時代の絵画が楽しめる厳選4人の画家をピックアップ。

ヤン・ステーン、フランス・ハルスらです。

『フェルメール展』に一緒に出かける人がいるなら、事前にちょっと知っているだけで自慢出来る事請け合いです。そして、かなりの作品が国立アムステルダム美術館からの出展作品です。

アムステルダム美術館には、あのレンブラントの代表作『夜警』があり、多くの人が世界中からやって来ます。メジャー級のレンブラント作品に比べ、ここではちょっとマイナーな名前の4人ですが、オランダ絵画の世界では評価の高い画家ばかり。以前アムステルダム国立美術館を訪れた際に見た彼らの作品を紹介していきます。これだけで『フェルメール展』が何倍も楽しめます。

フェルメール同様彼らもタダモノではない

★風俗画のヤン・ステーン

とにかくこの人の絵はユーモアと風刺に富んでいて面白い!色々な発見があります。

『恋煩い』ヤン・ステーン 1665-67年頃

恋の病は医者でも治せない。裏を返せば医者にはいい商売。そんな皮肉が込められています。

★中流階級の人々を描いたピーテル・デ・ホーホ

酒場や祭りの場面ではなく、いわゆる「庶民」たちより少し上の中流階級の生活を描いたデ・ホーホ。必然的に家の中の描写が多い。

『母親の膝に頭をのせる子供(母親の務め)』ピーテル・デ・ホーホ 1658-60年頃

娘の髪のシラミ取りが当時の母の務めだったなんて!

★人物画のフランス・ハルス

人物を生き生きと描く肖像画ではこの人の右に出る人はいないっ! 『陽気な酒飲み』はヨーロッパではかなり知られた作品です。1度見れば2度と忘れない、思わず微笑んでしまう作品です。アムステルダム国立美術館では、来日中のフェルメールの『牛乳を注ぐ女』と同じく『名誉の間』と呼ばれるオランダ絵画黄金期の名作だけを展示した特別な部屋にあります。実はこの絵、禁酒、つまり悪徳に対する戒めの絵。決して楽しく酒を飲むのをすすめている絵ではないのです。なぜなら…

彼は警察官!皮肉溢れる絵です。

★静物画のパイオニアだったヨアヒム・ブーケラール

ん、この絵は何を描いたんだろう? そう思う人がほとんどではないでしょうか。これは市場の風景、はたまた台所?

『豊かな台所の風景』ヨアヒム・ブーケラール 1566年

肉や魚、野菜などの食材が非常に細かく描写されています。ここは台所。とある来客のために料理を準備しようとする女たち。このシーン、実は新約聖書にある題材です。来客とはキリストその人。訪れたのはマルタとマリアの姉妹の家。キリストはこの後姉妹にある説教を行うよく知られた逸話です。しかし、絵の主題はあくまでも野菜、肉、家禽、魚などで、キリストの姿は背景の奥の奥に押しやられています。ブーケラールが描きたかったのは、あくまでも食材。後に『静物画』という絵画のジャンルに繋がるパイオニアが実は彼ブーケラールでした。

オランダ絵画にどっぷり浸れる幸せ

他にも驚きの精密描写のへーラウト・ダウがいます。レンブラントの弟子でしたが、師と人気を2分する程でした。風俗画が得意で室内での庶民の何気ない一瞬を描いた作品が多いのですが、その緻密な詳細描写には誰にも驚かされます。今回展示されている『本を読む老女』は髪の毛や顔のシワが「ここまで細かく描き込めるのか!」という程の信じられない精巧さです。

『フェルメール展』は年が明けて大阪に場所を移します。もう少し長くオランダ絵画の世界に浸れる幸せを噛み締めてみようではありませか。

★フェルメール展公式サイトはこちら

★アムステルダム国立美術館(ことりっぷ)はこちら

注)写真は全てアムステルダム国立美術館にてケニーが撮影したものです(撮影可能)。また紹介した作品は『フェルメール展』には展示されていません。