先に007ことジェームズ・ボンドの「口説きの美学」について書いた。草食男子は口説き方を007に学べ 。 ジェームズ・ボンドの自信の裏側にあるもの
書いているうちに、真面目過ぎる考察に落ち着いてしまった。本当は単純にボンドがいかにして女性を口説くのか、その美しいまでのプロセスとドラマチックな言葉を書いて紹介するつもりだったのだけれども…
全25作品、ボンドが口説いた女性は、今回数えてみると1作品で平均3.5 人! ヒロインであるボンドガールからチョイ出てくるラブシーンまで。任務のため出頭するよう指示を受け取るシーンは必ずと言って良い程、女性とイチャイチャしているボンド。
映画と英語と、そして「口説き方」まで学べる007映画は草食男子に贈る最高のテキストだっ !?
007 / ロシアより愛を込めて
ロシアンビューティ、全作品を通じても眉唾の美人ボンドガールのダニエラ・ビアンキ演じるロシアのスパイ、タチアナ・ロマノバ(なんだかタレントのローラそっくり)。任務のためボンドを誘惑するシーン。ベッドのシーツから顔だけを出して
「私が今、身につけているのは首のリボンだけよ」と言ってボンドを誘惑する。
「私の口、大きすぎない?」
そう言うロマノバにボンドは
「… 丁度いい」
と言って、いきなり唇を奪う。後はもちろんボンドの思う通りに。
007/ カジノ・ロワイヤル
「…あなた、人妻が好きなんじゃなかったかしら?」
「面倒じゃないからな」
誤解を恐れずに言えば、ボンドはもうその魅力で相手を捉えていて、絶対的自信を持って返事しています。
その後、カジノで悪役ル・シッフルにテキサスホールデム・ポーカーでの大勝負に勝ち125億を持ち帰り、ボンドガールである英国政府の資金担当ヴェスパーと2人で乾杯をするシーン。
「このカクテルに君の名を付けよう」
「後味が苦いからでしょ?」
「いや、この味を知ると、これしか飲みたくなくなるのさ」
うわぁ、こんなセリフ、流石に恥ずかしくて面と向かって女性には言えないっ。でも自信溢れるボンドには躊躇がありません。
007/ 私を愛したスパイ
バーバラ・バック扮するロシアのアマソヴァ少佐。当時その黒いクロス・ブラに目が点になってしまった、小学生ケニー。何故に美女は敵に誘拐されたにもかかわらず、こんな衣装を着せられるんだ?
それはともかくとして、ボンドは彼女の恋人をミッションとは言え殺してしまった。憎い仇の筈なのに…簡単にボンドとベッドインしてしまう。というか、普通、自分の命を狙っている人間にわざわざ近寄っていくかいっ! 頰をぶたれ、銃口を突きつけられても躊躇せず歩み寄るボンドにアマソヴァは、
「世界を自分の手にした王様のように振舞って、あなたは何様なの、007 」
「王になればずっと王さ。でも、今、僕は君にとってのナイトだ。ナイトは一度きりだ」
王は常勝、だって常にトップ。ナイトは勝てても次に勝てるかどうか分からない、勝負の世界に生きている。次があるか分からないナイトと呼ぶ事で、一度だけのチャンスに賭けている自分を相手に強くアピールしている。結果は…当然のようにアマソヴァもボンドに落ちてしまう。
最強の口説き文句は。
こうしてみると、頰をぶたれようがフラれようが、ボンドには失うものはない。嫌われたと思えても逆に相手は強い印象を持ってボンドを意識するようになる。気がつけば、いつのまにか距離は縮まり、それは相手との可能性を大きく変える。
個人的には、ボンドの一番の口説き文句はこれだと思っている。
「Bond, James Bond (ボンド、ジェームズ・ボンドだ)」
残念ながらこれを使えるのは世界で1人、ボンドだけ。真似した場合の効果のほどは…
「Ken, Kenny Miura (ケニー、ケニーミウラだ)」
…これだけであとはじっと相手を見つめて口説けるなんて、正直出来るだろうか。そして自分の名前を伝えた瞬間に、みなぎる自信のほどを最大限に相手に伝えられるようマックスパワーを注ぐ事を心掛ける。
ファーストインプレッションはかなり大事だ。ここで大きなインパクトを相手に与えておけば、それが薄れるまでの時間、ボンドのように押して、押して、押しまくる!
常日頃モテを意識して無駄にエネルギーを消費するより一点集中。
ではそれ以外のボンドの日常は? 実は女性と出会う瞬間以外のボンドは時には子供のようだ。自分のテリトリー内の事は女にもあれこれ言わせない。ドライだ。そしてこだわるところにはとことんこだわる。卵の茹で時間までも、彼は3分20秒と決まっている超こだわり。このギャップが逆に女性にとっては萌えるポイントなんだろう。彼は誰に何を言われても気にせず自分のこだわりを大事にしている。
日常生活でも常に自信を持って振舞っている。名乗って口説く一瞬のエネルギーも根は同じ、「自信」、これがボンドから学べる事だ。
世の草食男子諸氏へ。自信を持てっ!ケニーの出した結論はこれ。
『モテなくてもいいんじゃない? 口説ければ!』