単なる観光地ではない、本当の信州の良さが残っている村の展望台

「信州」といえばすぐに浮かぶのは誰もが知る観光地… 上高地、白馬村、戸隠、霧ケ峰、志賀高原などがすぐに頭に浮かぶでしょう。素晴らしい風景に出会える日本の宝石箱、それが信州です。

でも観光シーズンともなると何処も人であふれ、ガイドブックに書かれた名所を巡りどこかで見た景色をなぞるだけになりがちではないでしょうか。

伊那谷はほとんどの人が高遠や木曽駒ケ岳などを目指し、南アルプス南部に足を向ける人は圧倒的に少ないのが実情。その理由はなんといってもアプローチが不便だからでしょう。

飯田下伊那地区を訪れる人の割合は長野県への旅行者全体の5%未満(長野県観光部「観光地利用者統計調査」より引用)にすぎません。

でも、だからこそピュアで美しい風景が残されているのかも。この展望台もガイドブックのトップページを飾る事もなくまだまだあまり知られていない本当の信州の良さが残っている風景を見る事が出来る貴重な場所でした。

「日本一美しい村」に名を連ねる大鹿村

「大鹿村」…大きな鹿の伝説でもあるのかと思いきや、村の名前は大河原村と鹿塩村が合併した際に一文字ずつとったのが由来。

南信州・大鹿村へは中央高速道・松川ICより中央アルプスの眺めがすばらしい天竜川を横切り、東に約30分のドライブ。

次第に険しさを増す道は小渋ダムを過ぎると一気に山肌が迫ってきて、南アルプスの懐に入ったことを感じさせます。

午後もはやい時間でしたが谷間の集落はもう陰に入り始めていました。小渋川の谷の奥、遠く赤石岳が望まれる大鹿村。

ここからは鳥倉林道に入って一気に高度をかせぎ、目的の夕立神パノラマ公園へ。途中、カラマツ林の黄葉が素晴らしく綺麗です。

駐車場で出迎えてくれたのは可愛らしいリス。

ここから歩いて5分もかからず小さな展望台がある広場に出ます。

まず目を引くのはやはり赤石岳 (3,121m)。南アルプスの盟主の貫禄十分、小渋川の谷の上にそびえたっています。

紅葉が一番いい時期。

目の前に大きな尾根を張りだしているのは小日影山。ここから見ると立派な山容ですが、南アルプス主稜線からは単なる支稜上にある山にすぎません。この尾根をダイレクトに登っていくバリエーションルートは途中断崖に阻まれたり猛烈なハイマツ漕ぎなど多難なようですが、西側から主稜線に取り付ける数少ない尾根として面白そうです。

大日影山西尾根の向こうに荒川岳、そして盟主・赤石岳。

小渋川を奥に遡っていけば、「日本のチベット」「天海(あまさか)の村」ともいわれる最奥の釜沢集落があります。その先は登山者にはよく知られた激流の渡渉を何度も強いられる広河原をへて手ごわい大聖寺平への登りが待つ赤石岳山頂への長い道のり…

本来のプリミティブな「登山」の醍醐味と、アプローチの旅愁が味わえる今では貴重な地域では。

ここ夕立神から南アルプスを眺めると、小渋川の切れ込みの奥に赤石岳が悠然とそびえたってます。赤石岳が南アルプス南部の盟主と呼ばれるのに十分納得出来ます。

塩見岳方面に目を向けると小河内岳など主稜線。遠いながらも西側から南ア主稜線に一番近くアプローチ出来るのがこの鳥倉林道。やはり南アルプスは大きく、奥深い…

パノラマを撮影しての山座同定。

西の方向を見ると、ススキの向こうにシルエットになっている前衛の伊那山脈。こちらも山座同定。

最後に遠く伊那谷を隔てた中央アルプスの山並み。

これだけ贅沢な山岳展望は南信州では貴重です。それでいて、人気があまりなく忘れ去られたような場所です。

言葉を返せば、この贅沢な眺めを「独り占め」出来ます。晩秋の一日、じっくりと南アルプスの峰々を眺めた至福の時間の後は星空のシャワーが待っていたのでした。

 

【ヤマレコ】

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