クリスタルボウルに気がつかされた 『急ぎ足がマイペース』だった事

冬至は「日短きこと至る(きわまる)」の意味。色々な「陰」つまりマイナスも極まる日。その翌日、クリスタルボウルの演奏に出かけました。

「陰極まって陽生ず」の言葉通り、これからは運気も上がり良くなっていくばかりですよ、と迎えてくれた演奏者のマナさんヒロさんの素敵な御夫婦。

自分のこの10年、忙しい日々でありました。会社では1つの部の長となり責任が増しました。ただ管理の仕事をしているのかといえばそうではなく、所謂プレイングマネジャーと呼ぶ状況が長く続きました。「マネジャー」とは聞こえがよいかもしれませんが、要は実務と管理がダブルでのしかかる立場。営業、企画提案、価格交渉、納期管理、他のスタッフのフォロー云々…

海外との交渉・調整が多く帰宅してからの遅い時間にも電話したりメールを打つような日常。海外への出張も多かった。

幸い大きな案件を続けて受注し、本社からも評価もされていて仕事も楽しかった。週末は週末で山登りや美術展巡り、家族とも年一度は旅行に出かけ、不自由もなく自分でも満足してそれなりに充実していました…今年の夏に心筋梗塞で意識不明で倒れるまではっ!

『急いでなくても自然と走っていたんだろうなぁ』

突然に死の淵を彷徨い、なんとか舞い戻って来た『この世』。手術を経てまだ身体を元に戻そうともがく毎日。

そんな中で思う事。

『俺って、走り過ぎていたのかな?』

勿論悩みや葛藤もありました。が、振り返れば小さなものでした。平日も週末も自分が楽しいと思える予定を入れ、かなり自由勝手に出かけていたと思います。

「ストレス? ないない!俺には関係ない ! 」

頭はアドレナリンやドーパミンで満たされていた反面、身体は実は悲鳴を上げていて頭はその声を聞いてはくれていなかったのだ…

蒸気機関車の運転席では「行け、行け、走れっ!」と、どんどん燃料を焚べているのに、肝心のボイラーはポンコツ寸前。「もう、いっぱいいっぱい。た、頼むから燃料なんか入れないでくれっ!」最後にボイラーは暴発して、機関車は止まってしまったのが7月25日、

マイペースで急いでるつもりもないのに、線路の上を真っ直ぐ一心不乱に走っていると、ついつい急いてしまい、スピードを上げてしまった?

『線路は続くよどこまでも』

唄の歌詞通り、線路はまだまだ続き、まだまだ進みたい。けれども先には必ず終着駅があって線路は終わる。過ぎ去る景色は2度と見る事がない。

先を急ぐ故に止まってしまったのだけれども、幸いに再び動き出した自分という蒸気機関車。今のところノロノロの徐行運転。それだけに周りの景色が実に良く見える事に今更だけども気付く。なんだ、こんな景色の中を走っていたんだ…。周りを見渡せば今まで見えてなかったものが沢山あるじゃないか。

汽車の進む線路の先は見ていたかもしれないけれど、車窓から広がるもっと大きな世界をどれほど見たのだろう。

今は、走る事をやめてまず歩いてみよう。

音の奇跡の中で

…ふと気がつくと目が覚めた。

『あ、俺、今日はクリスタルボウルの集いに来ていたんだっけ』

時計を見ると、眠りに落ちてからもう2時間。

クリスタルボウルを聴く時は床に寝そべり思いっきりリラックスする。眼を閉じて、深い眠りに入る人も。音に反応して身体が動く事も。ずいぶん、他の楽器とは聴き方が違う。

そういえば最初はクリスタルボウルの奏でる心地よい音を耳で楽しんでいた僕。次第に手が開き指が伸び、大の字になった足から力が抜け、いつの間にやら脳の中で色々な思考や想いが錯綜して来たような記憶が。それらも何処から何処までが夢なのか意識なのかも判然とせず曖昧。なのに、再び起き上がった時は心地よく何処かに魂が旅していたような不思議な感覚。

スピリチャルな事ではありません。純粋にクリスタルボウルという石英の楽器の奏でる音が脳や身体に心地よいのです。

自分も楽器(沖縄三線)をたしなむので少しは「音」がメンタルに及ぼす効果を実感する時があるのですが、この楽器はその比ではない程。

一つの楽器から多くの違った音が発せられる通常の楽器と違い、クリスタルボウルは基本1つのボウルからは1つの音階しか出せないのです。簡単にいえば、お仏壇の「チーン」と鳴らす「おりん」や、チャペルや寺院の鐘の音と同じです。

数多くのクリスタルボウルが沢山並べられ、演奏者が個々のボウルを鳴らして行き、多くの違った音が重なり合い、次第にめくるめくように心地よい気分に徐々になっていきます。

目を閉じていてボウルの音色だけが耳から入ってくる。その心地良い事! 途絶える事の無い素敵な音色の流れに身体全体がたゆたうような不思議な感覚。ただただまどろみに誘ってくれる音の奇跡。意識の中ではもやもやと今までの想いや感じた事がぐるぐるメリーゴーラウンドのようでした。

マナさんとヒロさんの息があってのこその音だからだろう。

ああ、思えば線路の途中にいっぱいあった小さなたくさんの駅をすっ飛ばしてきていたんだなぁ。

これからはひとつひとつ、その小さな駅に停まってみる各駅停車で行こう。マナさんとヒロさんの素敵な音に誘われ停まった「クリスタルボウルの駅」で、気が付かされた。

演奏が終わって外に出る。見上げた空には綺麗な満月。清々しい体験でした。

各駅停車って … いいな !

●参考 / 冬至と風水(日経WOMAN ONLINE)はこちら

●クリスタルボウル演奏・体験 (名古屋)

「Heart Creation」はこちら