どうして、立食のお蕎麦がホームにないの?
蕎麦が好き。
久しぶりの東京への出張。そうだ、久しぶりに美味い蕎麦がいいなぁ。
前から行きたかった都内のお店をいくつかピックアップ、昼食はそのどれかに行こう、と密かに算段していました。
ところが思ったよりも打合せが長引き、昼食時間をつぶしてのミーティングになってしまいました。
結局、終わったのは午後2時近く。
この日は秋の3連休前の金曜日。帰りの新幹線が混雑するのを見込んで午後3時台東京駅発の指定券を購入していたので、自由になる時間は移動の途中でのコマ切れ時間のみ。
どう考えても寄り道していたら乗り遅れる…
かといって蕎麦を食べる事を優先して、乗る新幹線の時間をずらせば、おそらく座席に座る事は出来ない。
名古屋まで2時間近く立ったままなのは流石に辛い、と目的のお店は泣く泣く断念したのです。
とはいえ、お腹は空いています。
都内から都区内乗車扱いの新幹線乗車券を購入して改札を通ってしまったので、乗り換えの東京駅構内で食事をとるか、駅弁を買うか。
ふと名古屋駅の新幹線ホームにあるきしめんのお店が頭をよぎりました。
よく利用する名古屋駅には、きしめんの立ち食いスタンド店があって、出張の行き帰りに何度も立ち寄りました。立ち食いなら…お蕎麦にありつける。
『ん、待てよ。東京で新幹線ホームで立ち食いのうどんや蕎麦のお店って見たことあったっけかな?』
行きも帰りもいつも慌ただしく通過するだけで、東京駅・東海道新幹線ホームではキオスクぐらいしか立ち寄る事もなかったのです。
そもそも、蕎麦どころかうどん、ラーメンも含めてて立ち食いの店自体、ホームで見た記憶がまずありません。
東京ゆえに高すぎるテナント料がため、庶民価格の立ち食いスタンドではやっていけないのか? はたまた駅弁売ってたほうが儲かるからとJR側の思惑なのか?
たった1軒だけある東京駅ホームの蕎麦屋
いや、新幹線のホームだけではなく、在来線のホームでも立ち食いのお店って東京都内では見た記憶がありません。
八重洲北口に「大江戸そば」があるようですが、もう新幹線改札を通った後だし… 案外無いものです(蕎麦なら東京、のイメージが強いのかもしれませんが)。
ダメ元で駅員さんに聞いてみると、下りのホームにだけ、たった1軒立ち食い蕎麦のお店があるという。
「結構美味しくて、評判ですよ」
ちょうど帰りに予約した列車が出発するホームにあるようだ。
なんで今まで気がつかなかったんだろう?
理由はそのお店に向かって歩いていくとよく分かりました。
目指すお店は18番線のホーム、14号車が停車する位置にありました。
八重洲側、人でいつもごった返している東北・上越新幹線乗り場の向かい側の東海道新幹線の改札から入って直進。一番奥、突き当たりのホームが18、19番線です。ここを左に上がってホームへ出ます。
反対に右からホームに上がると、お店のあるのとは反対の方向に進んでしまいますので、注意。14号車が停まる16-6号車の方向です。
さて、ホームに出て先に向かいますが、それらしい店はなかなか目に飛び込んできません。
ホームを歩いていっても、19番線側を歩くとほとんど気がつかず通り過ぎてしまいます。
目指すお店は、下の写真(19番線側)の左手前に見えるキオスクの奥です。
こちら側からは入る事が出来ず、厨房側なので窓もなく、飲食店とは気がつきずらいのです。
反対に左の18番線側を歩いていくと、キオスクの裏とはいえ、のれんがかかるお店が目に入るので、さすがに見落とす事はありません。
入り口と食券販売機は来た方向とは逆の裏側にあります。
ホームで待つ人と、食事を終えてお店を出た人がぶつかる事を避けるためにホーム上のお店は出入口が電車の乗降口の正面にはない場合が多いのですが、このお店も券売機が裏手なのでホームを歩いていっても遠くからは視認出来ないのです。
店舗正面がホーム奥側に向いているので、なかなか気付きません。
まず、お店を見つけて一安心。
前払いチケット制で、券売機があります。
かき揚げやカツ煮、鶏天などがメニューに並んでいる。
値段もリーゾナブルじゃあないですか。
ようやくお蕎麦にありつけそうです。
隣の人がカツ煮蕎麦をオーダーしていましたが、私の頼んだきつね蕎麦とほぼ同じタイミングで出てきていました。
カツは作り置きしているのでしょうが、新幹線の発車時刻を気にしながら食べるホーム上のお店としては逆にありがたい対応です。
オーダーしたきつね蕎麦が出てきました。
忙しい駅構内で、ホッとする瞬間。
シンプルですが、十分に満足出来ます。
寒い季節の日は、冷たい駅弁を車中でいただくよりも、待ち時間にあったかいお蕎麦をいただくほうが嬉しい。
お店の人に聞くと、朝は6時45分から営業しているという。
東京を発って名古屋・大阪方面に向かう人に、これはありがたい。
東京と名古屋の違い? きしめん屋がひしめき合う名古屋
ところで、なぜ東京駅にはホーム上にはこんなにも立食出来るお店が無いのでしょう?
名古屋にも、大阪にも、在来線・新幹線を問わずごく普通にある立食の蕎麦屋が、なぜか東京駅ではここしかないのは不思議。
確かに東京駅には地下に大きな飲食店街があるので不自由しなさそうに思えますが、都内から在来線乗り継ぎで東京駅から東海道新幹線に乗る場合には途中下車出来ず利用出来ない。
そんな時には、この『グル麺』が、今のところ唯一お蕎麦をいただける貴重なお店のようです。
ところで、私の地元、名古屋はご存知のように『きしめん』が幅を利かせており、名古屋駅もご多分にもれません。寒い冬の朝、何度お世話になったことか。
各ホームに必ず1店舗以上あるのは間違いありません。おそらく15から20の店舗が新幹線駅構内外にひしめき合っています。
東京の方々は蕎麦やきしめんを食べる5分、10分が惜しいほど多忙なのか、混雑するホームで食べる事を避けているのか、はたまた名古屋人がただ単にきしめんが好きなだけなのか…。
それは謎ですが、名古屋駅のきしめん屋さんも東京駅の貴重なお蕎麦屋さんも、この冬また何度もお世話になるでしょう。
★グル麺 JR東海パッセンジャーズHP
https://www.jr-cp.co.jp/restaurants/detail/9?before_action=brand_list