『1枚のピザが2枚に? そんな事できるわけないでしょっ!」

「どうせ、半分に切って2枚にするんでしょ?」

…いえいえ、ちゃんとお腹いっぱい食べられるようにしますよ。

「 もしかして、ケニー 三浦はマジシャン?」

「どうもチベットの奥にあるという謎の寺院、カマータージで覚えた、怪しげな術を使って、どんどんピザが増えていくらしい」
「それ、凄くない?」

おーい、ミスター◯リックでも、ドクター◯トレンジでもない、普通の人ですよ、ケニー三浦はっ! いや、もちろんナイスミドル、女性のハートはがっちり掴みますけど、それ、魔法使ってません!そこは地で勝負でしょう(笑)。

「早くピザを増やす方法、教えてよっ、ケニー!」

はいはい。分かりましたよ。落ち着きましょうね。
まずは現場確認からですよっ。さあ、まず食卓の上にあるのはなんでしょうねぇ…。

「ピザ…じゃなくて食べかけ?のホットドッグ?」

せっかくホットドッグ食べてた時にドヤドヤ押しかけてくるんだから、もう…
ピザがあいにく切れていて、代わりにこのホットドックで説明しましょうね。
(全く、誰がピザ全部食べたんだよ。楽しみにしてたのに…)

お腹が減って半分僕の腹に消えたホットドッグ。もちろんケニーは残りを全部食べたい。でも、この人達、なぜか僕がピザやホットドッグを増やせる魔法を使えると思っている。それに…お腹が相当減っていそうだよ。

「ねぇ、ケニー、早くぅ。お腹ぺこぺこなの。何とかしてよっ!」

「朝から何も食べてないんだ、ケニー。そのホットドッグ、残り全部くれないかい?」

「それ、ずるーい。あなた、料理得意じゃないの。なのに朝食ヌキなの? 私も貰えるもんなら貰うわよっ!」

「先に言ったのはこっちだよ。な、いいだろ、ケニー? 俺、ケニーがいっぱいピザ増やしてくれるって聞いたから、うまいトマトソース仕入れて持ってきてんだよ、せっかく…」

「ホットドッグは1つしかないのよっ! 誰か遠慮してくれない?ここはレディーに譲るべきよっ!」

…はあ。
やれやれだぜ(JoJo風に)。

誰かが食べれば、何も残らない。まぁ、そうすれば、僕も魔法が使えるだかなんだか知らないけど、これで評判落とす心配はなくなる訳だし… お互い良しとなる訳か。いわゆる、ええっと何だっけ…そう、〝Win -Win〟という事だな…
ん? 待てよ。食べた人と自分はいいけど…この状況、もう1人いるんだよな?
半分食べたホットドッグをもう半分にして2人で食べてとは、さすがに言えないし…

うーん、困ったぞ、これは。
誰かが必ず文句を言う展開になるぞ。

(しばし考え込んでから)

ねえ、こうしない? 冷蔵庫にはパンがまだ3人分入ってるんだ。僕はこれを提供するよ。で、料理が上手い人がここにいて、おいしいトマトソースもあるんだろ? ピザでもホットドッグでもまだまだ作れば食べられるよ。全員ね。これで解決って事じゃない?

「た、確かに…」
「そ、そりゃ、半分ぽっちのホットドッグをみんなの恨みを買いながら食べるのもなんだしなぁ、美味くもなんともないし」

ね、足りないなら、取り合うんじゃなくて、皆んなで増やせばいいんだよっ!いつも『これしかないっ!』って思わずに、一緒に考えて、皆んながハッピーになる方法を考えるんだよ。皆んな全部持ってるわけじゃない。でも、力をあわせれば望みがかなうんだよ。ないなら、いっそ皆んなで作っちゃおう!

②に続く