名古屋にも住んでいた安倍晴明。ゆかりの名古屋晴明神社で初詣。

晴明の陰陽術で身体の悪いところを治してもらおう

名古屋ドーム球場(今はバンテリンドームナゴヤか)のすぐ近くに『清明山』という地名があります。文字通り ”せいめいやま”と呼ぶのですが、ここにある小さな神社が最近にぎわっている。

その神社の名前は『晴明神社』。なぜか、地名と違う漢字なのですが、こちらも”せいめいじんじゃ” と呼ばれています。

そう、晴明と言えば誰もが思い浮かべるのが『安倍晴明』(あべのせいめい)。稀代の陰陽師として今や名を知られた平安時代の人物。京都の晴明神社は今や全国的に有名になり、そのご利益にあずかろうと多くの人が訪れますが、同じ名前の神社がなんと名古屋にも?

本家(?)の京都・清明神社とまた違って、この名古屋の清明神社はポピュラーではありませんが、静かに噂になって訪れる人もすいぶんと増えてきているようです。

いわく、『恋愛成就に効果あり』。 いわく、『名古屋で願いが叶う一番の神社』。 そして極めつけが『参ると身体の悪いところが治る』。

晴明さん、どんな術つかってんの? こんなぎょーさん効果があるなんて、おっそがぁやけど、本当なら、どえらいこっちゃで。ちゃっとまわししてはよ行こまいて !!

確かに名古屋に住んでいた陰陽師・晴明。

名古屋に晴明神社があるのは不思議に思われるかもしれませんが、実は安倍晴明は987年頃の数年の間、この地に住んでいたと伝えられています。この間にこの地の住民たちを悩ませていたマムシを自分の妖術を使って退治したと伝えられており、この地に晴明を祀る祠が建てられたのがこの神社の由来。

明治になって京都の晴明神社から分霊を得て、晴れて同じ『晴明神社』を名乗れるようになりました。

訪れたのは2022年のお正月。駐車場はないようです。徒歩数分ほどの場所に有料のコインパーキングがあり、そこに車を置きました。本当に静かな住宅地の中にある小さな神社でした。

京都の晴明神社でも多く見かけた『五芒星』の印ですね。間違いなく、安倍晴明その人を祀る神社です。

この日は正月に東京から戻ってきた学生の息子を連れてきていました。年代的にさすがに映画の『陰陽師』は見たことがないまでも、様々な歴史上の人物たちが時空を超えて戦う映画・ゲーム『Fate』にはまっている彼にも『安倍晴明』を祀る神社は興味深々のようでした。

小さな社務所があり、お正月中は氏子の方々が交代で詰めているとの事でしたが、平日火曜日・木曜日の午後と週末だけのようです。

それにしても五芒星まるけですね。

そもそも陰陽道とは名前のとおり、太陽と月。ですが誰かが生み出した学問や宗教のようなものではなく、もっとシンプルに『自然の法則』の素直に従った真理のままに生きる、のが本来の陰陽道。この法則をうっかり忘れて大変な思いをしたのが実は自分でした。

『自然のままに』

数年前に突然に心筋梗塞で意識を失って倒れたことがあるのですが、思い返せば当時はあまりにも多忙で、仕事もプライベートもふつふつといつも自律神経がたぎっている日々だったようです。いや、仕事も遊びも充実はしていて楽しかったのですがどうも知らないうちに身体の方は悲鳴を上げていたようなのですね…

つまりは『陰陽道』に照らし合わせれば、全くもって自然の摂理に反した日々を送っていたと反省せざるを得ません。

今はもう過去のことのように元気になり健康を回復してはいます。

が、実はそう思っているだけなのか知れない。ちょっと気を抜くとあれこれやって交感神経優位な状態のままでずっといる毎日になってしまっている。いけない、いけない。

そんなわけで、この正月は『陰陽道』であるべき自然のまま、副交感神経優位な状態でいようと思ったのでした。

そしてやってきたのがこの神社。何よりこの名古屋市内の晴明神社にある狛犬、自分の身体の悪いところ、治したい場所を撫でると無事に回復出来るというご利益があるとか…。

そう、実はこれが目的でここに初詣にやってきたのでした。

社務所に詰めていた氏子の方が以前、毎日のように健康を祈りながら神社の狛犬を撫でていると、心臓病が見つかったそうです。なんと、心筋梗塞の一歩手前であったとか! 幸いに手術で事なきを得たようですが、こんな話もあって狛犬を撫でに来る人が後を絶たないのでした。

さて、どちらの狛犬を撫でさせてもらうのが良いのか… 巷では男性が本殿に向かって左(口を閉じた『吽』のほう)、女性は右(口を開けた『阿』のほう)を撫でるのがよい、とのうわさもあるのですが、社務所の方に尋ねると『どちらでもご利益がありますよ』との事。

しっかりと撫でさせてもらいましたが、うっかり『阿』の狛犬さんを撫でていたとは… 気が付きませんでした。こりゃ、また来年のお正月も来なくては。

気になる『七不思議』

もう一つ、神社と言えば、おみくじ。もちろんここにもあります。

京都の本家の晴明神社もそうでしたが、ここにも羽生選手の熱心なファンが願望成就にお参りに来るようですね。

お百度石もありました。撫でるだけで良いらしく、最近のお百度合参りもシンプルになったものです。晴明さん、これも何かの術?

名古屋の晴明神社には七不思議というものが伝わっています。先の狛犬もその一つ。詳しくは書きませんが、ひょっとしたら本家の京都・晴明神社よりもすごいのかも? 京都の晴明神社訪問はこちらに書いています。

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京都の『晴明神社』とはまた違った趣でしたが、地元名古屋に晴明が住んでいてその名前を冠した神社があったとは、うれしい限りでした。