「世界が恋する海」慶良間諸島の座間味はトレッキングも素敵
阿嘉島の北浜(ニシハマ)ビーチから青い海のむこうに見えるのは座間味島の島影。
ここは、世界中のダイバーたちのあこがれ、沖縄本島西にうかぶ慶良間諸島。
那覇の泊漁港から高速船でわずか1時間、外海に出るだけで、もう世界でも3指に入る程の美しい海。
「ケラマブルー」と呼ばれる独特の輝きに魅せられて、中心にある座間味島に足を運びました。
座間味島が素晴らしいのは海の魅力に加え、島内にいくつもある、美しいケラマブルーの海を見下ろす素晴らしい展望台を周遊するトレッキングも楽しめる事です。
島滞在中1日は是非とも周遊やハイキングにあてたい。
「海」と「山」の出会う場所は、どこも素晴らしい。マリンブルーが太陽に最も輝き、緑の常緑樹がはじめるように命の輝きを増す季節ーそう、盛夏がもっとも座間味が美しい時期でした。
太陽光は真上から海に差し込む盛夏は、海深くまで光が届き、ケラマブルー独特の光の乱反射が最も美しいからです。
おりしも記録的に暑い夏となりましたが、連日好天が続きました。
青い海は上から眺めるほうがいい
慶良間諸島は近年、国立公園となり注目度も上がっているのですが、古座間味などのビーチを除くと座間味島にはまだまだ人は少ないです。
沖縄県全体の年間観光客が約980万人、ハワイとほぼ肩を並べるまでになりましたが、慶良間諸島訪問はそのうちの10万人足らず(石垣島などがある八重山諸島全体で約140万人)。
本島のすぐ近くなのに、離島というだけでこうも違うの?と驚きます。
さて、宿が集まる座間味港からは阿真集落へ向かい西へ向かいます。
自分の足で歩くもよし、原付バイクをレンタルしてもよし。ただし起伏が多いので自転車はおススメしません。
また、真夏は本当に暑いです。トレッキングの最中に脱水症状にならないようご注意を。歩くのはほとんど舗装路、山道ではありません。
また、島内にはヒメハブはいますがハブはいませんのでご安心を。
座間味集落から港へ。島唯一の信号のある交差点から西へ向かいます。すぐに青い珊瑚礁の海がひろがり高揚感が増します。
程なくして宇論(うる)の崎。ここには映画で有名な「マリリンの像」が阿嘉島の方に向かって立っています。
3キロ先の阿嘉島から泳いで座間味島に会いにきたシロを想う、なんともいじらしい姿。
ウミガメと会える阿嘉ビーチを横に見て先に進みます(海の楽しみ方はまた別記事を読んでください)。
阿真集落を抜けるとすぐに沖縄らしい照葉樹の中を登る道に。慶良間の島々は起伏が多く平地が少ない。
道を登りきりしばらくで、神の浜展望台。
島の西端にあり、ここまで座間味港から徒歩で約30分。
展望台は2階建て。遥か水平線には渡名喜(となき)島が見え、どこまでも青い海原が広がり爽快。
南に目を転じると聖地「あましるぐすく」の小島の向こうにたくさんの島影が。
ここから東に向きをかえ、左に終始、海原を見ながら高台の道を進みます。神の浜展望台から徒歩で30分、「女瀬の崎(うなじのさち)」に到着します。
慶良間では海に突き出した岬を「崎(さち)」と呼びます。
ここから東に向きをかえ、左に終始、海原を見ながら高台の道を進みます。女瀬の崎展望台から徒歩で40分ほど、稲崎展望台に到着。
春にはこの展望台からクジラを確認し、ホエールウォッチングの船へと連絡することで、クジラとの遭遇確率が格段に高いのが、ここ座間味島。
ケラマツツジも美しく、夏以外では春も島内トレッキングにもおすすめの時期。
ここからは尾根を巻きながら島の中央に伸びる路を高月山の方へ向かいます。しばらく海とはお別れ。
標識に案内されて分岐から急坂を上がると高月山展望台へ到着。
島の中央にあり、四方の展望が広がる座間味島随一の眺望。
眼下には登ってきた座間味港と集落が見えます。標高はわずか131 m、山と呼ぶには低すぎますが、それを感じさせないパノラミックな展望です。
続けて視線を東の方に移していくと、古座間味ビーチが眼下に見えてきます。
安室島は無人で、干潮時には座間味島と砂州でつながるので、古座間味ビーチから歩いて渡る人もいます。
東に目をむけると、足元に見えるのは、突き出した岬になっている留加比の鼻で囲まれて内海になっている安護の浦。その向こうには渡嘉敷島と小さな慶良間の無人島、そして沖縄本島が遠くかすかにまるで鯨の背中のように横たわっている。
青い海の上の多島美は、慶良間ならではです。
少し視線を横に移動させると、一見まるで湖のような湾、安護の浦が足元に。
緑濃い大岳(うふだき)は座間味島で一番高い山。それでも標高はたったの160.7 m。道はありません。
慶良間をはじめ、沖縄の島々の海は世界に誇る美しさ。なるべく上から見るのが、その美しさを体感する一番の方法です。
島にいったら、ぜひ海だけでなく背後の山を気にしてみしょう。
「森」と「海」の出会う場所は世界中どこでも素晴らしいと思う。
高月山からは座間味集落へ下るしかありません。
高見山山頂からは島の北への道がないので、一度戻って座間味集落からしか島の北へは行けない。
トレッキング初日はここまで。宿の夕食時間までは古座間味ビーチへ行き海を楽しみました。
この水のきらめきが、慶良間独特なのです。これこそが、ケラマブルー!
①座間味集落⇒②マリリン像⇒③阿真ビーチ(35分)
③阿真ビーチ⇒④神の浜展望台 (20分)
④神の浜展望台⇒⑤女瀬の崎展望台(5分)
⑤女瀬の崎展望台⇒⑥稲崎展望台 (40分)
⑥稲崎展望台⇒⑦高月山展望台 (40分)
⑦高月山展望台⇒①座間味集落 (30分)
⑧古座間味ビーチ(片道15分)
座間味島の北へ
翌日。島の北側には一周できる道がないため、座間味集落から往復することになります。
出来れば島内ハイクには、高月山から島の西側、そして翌日は島の北側へと、2日間をあてたいものです。
急ぎ足でバイクを使えば島内一周は1日でも可能。ですが、この世界に誇る自然をじっくり味わってほしいもの。
古座間味ビーチへの道を分けて北へ向かうと、ほどなくして前日、高月山の山頂から見下ろした安護の浦へと到着。
静かな内海に面して、小さな、小さな阿佐の集落があります。
ここから、案内もなにもないのですが、ユヒナの浜に向かいます。
阿佐から島の西海岸へと小さな未舗装の道が伸びています。
島の一番狭くなった陸の場所なので、5分ほどですぐに海に飛び出します。
一言でいうと、「隠れビーチ」といったところ。
いやぁ、きれいだ。座間味島でも穴場中の穴場。
まずガイドブックには載っていない知る人ぞ知る場所。プライベートビーチの感覚感がたまりません。
ここからは渡名喜島が遥か彼方に遠望されます。
島の北へは歩いて行くにはさすがに遠い。せめて自転車があれば…
座間味集落から歩くと丸一日で、海でのんびりする時間がなくなります。
バイクも楽しい。
次は標識にしたがって、絶景中の絶景、島北端のチシ展望台へ。
ここの海の色も淡いエメラルドグリーンが素晴らしい!海岸まで下りて行きたい衝動にかられますが、道らしいものは見えない。
サンゴ種の淡いトルコブルーと沖合のライトブルーが混ざり合う海。
夏の座間味ならではの絶景。
チシ展望台からは東へ向きをかえます。樹林の緑がどんどんと濃くなってきて、海が見えなくなります。
このあたりまで来ると、人の気配がほとんどありません。セミの合唱、じりじりと道を焦がす焼け付く夏の太陽はまさに沖縄の離島の体験そのもの。
さらに林道久岳線を行きます。
奥へと足を進めると、ウハマに到着。滞在体験交流施設の建物から5分ほど、モクマオウの木の間の道をぬけると目の前に砂浜が広がります。
誰もいない。ただ白波が静かに打ち寄せる砂浜。目の前に広がる安護の浦の眺め… まるで。時間が止まったようでした。
最奥の唐馬(トーマ)海岸へも行けるが今回はここまで。
8月の盆休みの時期だというのに、座間味島の奥はとても静かでした。
人に教えたくないほど美しい
太平洋戦争時にアメリカ軍が最初に上陸した島が、この座間味島ですが戦争を思い起こさせるものはほとんど残っていません。
となりの渡嘉敷島にはアジアからの旅行者が増えてきていますが、座間味島やとなりの阿嘉島はまだまだプリミティブな雰囲気が残っています。
那覇への帰路、ケスタ地形(片側の崖は急傾斜で、もう片側はなだらかな非対称丘稜)の大岳がはっきりと分かる座間味島とその沖合の男岩が見えました。
緑と青、「森」と「海」の出会う場所。
島の山旅は旅情たっぷり。
座間味の海と山は、素敵な夏の思い出を残してくれたのでした。
☆地図は国土地理院発行2万5000分の1地図「座間味島」を用いています