オーストラリアのど真ん中、「赤い中央部( Red Centre )」と呼ばれる赤い砂の大地が果てしなく広がる中にそびえる世界最大の一枚岩、ご存知エアーズロック。山ではありませんが、「山頂」までは登山ルートが1つだけあり登る事が出来ます。しかし、現地の原住民アボリジニにとっては聖地として崇めている岩山。彼らの言葉でウルルと呼ばれるこの巨岩を含むこのウルル・カタ・ジュタ国立公園は、アボリジニのアナング族組織がオーストラリア政府に「貸し出して」いる状態。彼らにとって神聖なこのウルルは2019年10月26日以降完全に登山禁止となる事が昨年2017年11月に決定されました。
もう25年以上も前ですが、ケニーはこのウルルに登りました。この景色はもう一般の方の目に入る事はほとんど無くなる事になりますので、古い写真ではあるのですが紹介しましょう。往復2時間半、最大傾斜46度の岩のルートです。
標高868m、大地よりの標高差335m。夕焼けに染まるウルル(エアーズロック)。
山頂へのルートを登る、若かりしケニー。真っ黒けに日焼けしているのはあまり見ないでください。
遠くに見える岩塊はマウント・オルガ。アボリジニの呼び名は「カタ・チュタ」。国立公園の名前の一部です。こちらの方が若干高い標高868メートル。
山頂部はこんなにも広い。
この眺め…「地球のヘソ」と呼ばれるのが納得出来ます。
眼下に広がる荒涼としたred centre の大地。オーストラリアが大陸である事を実感。
現在でもウルルに登るのはハードルが高く、気温が36℃以上の日や、強風・雨天時は禁止されます。夏は雷も多く、晴れていても雷予報が出ていると閉鎖になります。また登山道の鎖が外れ、長い間修理の為に登山出来ない年もありました。ケニーの登った時代は年間の訪問者30万人のうちの約4割が頂上をめざしたそうですが、近年は15%程度までに減っており、禁止を後押しする事にもなったようです。
出来ればもう一度、完全閉鎖前に山頂チャレンジしてみたい気持ちもあります。ですが登山禁止となる背景が、アボリジニの人々の聖地を守りたいという理由のため、少々後ろめたくも感じます。エアーズロックに登らずともその麓にあるアボリジニが岩に描いたアートを見るだけでも価値があると思いました。彼らのウルルに対する畏敬の念が感じられます。ここはレジャーランドでも遊園地でもない、神聖な場所なのです。