天気アプリ「Windy」でみた今回の超大型台風接近

カテゴリー6の台風が直撃した日本列島

2019年10月12日から13日にかけて、狩野川台風以来実に半世紀ぶりに大きな勢力をもった巨大台風が東日本を席捲、東日本を蹂躙しました。そう、台風19号(ハギビス)です。

「地球史上最大級」とまで言われたこの巨大台風は、今は想定されていないカテゴリー”6”レベルの初めての台風としてのちに語られることになるほどの規模で列島を通過していきました。

しかも、上陸が夕方、列島を縦断したのが深夜にかけてというタイミングの悪さ。

一夜明け、北関東・東北から長野県まで広範にわたって河川が氾濫し、その被害の甚大さがメディアを通して今も絶え間なく報道されています(2019年10月13日正午現在)。

テレビをはじめ、メディアでは早いうちからこの台風の情報を配信していましたが、具体的に河川決壊の被害を予測するのは難しく、大きな被害が出てしまいました。

台風の通過にともなって氾濫危険区域が広がっていくのはわかるのですが、残念ながら、具体的にどの山の斜面に、どの河川に危険が迫っているのかまではやはり予測出来ません。

ですので、「全域に避難指示」となり、考えられないほどの人数の人に避難を呼びかける事しかなくなってしまう。

氾濫した川の流れる向きは

今回氾濫した千曲川、阿武隈川などは川の流れが南北に走っており、台風の進路、風の吹く方向にならって雨が降り水かさが増したのが、被害の出た大きな原因かと推察されています。

正確な状況把握がまだであるため、これはあくまで一部の権威によるコメントであるのですが、私には十分説得力のある言葉でした。

趣味が登山で、地形と天候の関係性についてはきわめて敏感で、納得出来たのです。

山を計画する時はもちろん、いつ、どこに行くかを決める段階から、実際に山に入る直前のタイミング、山中での行動判断まで、「天候を見極めて予報する」事は先の自分の行動を決める登山の重要な要素。

台風が上陸したこの秋の3連休には山の計画をしていませんでしたが(これだけ台風、台風と騒いでいればとても行く気にはなれない)、都会にいても台風の進路や被害の程度、またその起こりうる地域までを予測しようと思い、ずっと推移を見ていました。

「伊豆や静岡の山があぶないな…」

箱根をはじめとして史上最高の1日あたり降水量を記録した地域は予想通りでしたが、実際に大きな被害をもたらした地域は前述のように北日本などでした。

台風をブロックする役目を担うはずの日本アルプスのある長野県は、過去にはほとんど台風の進路となったことはありません。ですから台風から南風のあたる静岡を心配していたのです。

ですが、これは多くが西日本へ上陸する従来の台風での話。今回の台風は東日本をかすめ、その風の挙動は全く違っていました。

実は今回、台風が日本に接近して上陸・通過するまで、テレビなどの報道だけではなく新しくインストールしたアプリ「Windy」を用いました。

登山のためにインストールしたアプリは風・雲を知るのには最強でした

登山などアウトドアスポーツが趣味の方には「お天気アプリ」は必須でしょう。

有名なものでは猪熊隆之氏が立ち上げて広く知られている「ヤマテン」や、各山岳の天候予測から登山に適した快適指数を掲載する「てんきとくらす」などが知られています。

「ヤマテン」はヒマラヤ登山まで経験のある猪熊氏の豊富な山岳知識をもとに最適な登山目的地域まで絞り出し、計画段階でも大いに参考になります。

「てんきとくらす」は各山岳毎にサマライズされた情報が分かりやすく、指数化されていて重宝している。

これらは経験豊富な気象予報士による予報で、もちろん大いに参考になるのですが、それらの予測の根拠となる気象データそのものが同時に提示されるわけではありません。

高層天気図をはじめ、米軍や各国の気象機関からの膨大なデータはもちろん専門的で、一般人である我々にはとても解読出来ません。

「専門家」と「一般人」の間でこれらの専門データは、分かりやすい言葉に変えられて様々な天気予報となってメディアなどを通して届けられます。

もう少しこの「届けられる」予報が分かりやすいかみ砕いたデータと一緒であれば… 常日頃から気象に興味をも出るのではないだろうか。そして今回のような有事に役に立つのではないか。

これに応えたのが、この「Windy」(windy.com) でした。

このアプリ、無料で誰でも使えて端末も選びません。Wikipediaのように寄付で成り立っているようで、ログイン画面に寄付を呼び掛ける文字が出ます。

特徴は、ひたすら予測および実測のデータ、データ、、データをリアルタイムで提供する、という点。

言葉での『予報』はありません。

それを補ってあまりあるのがアニメーションによる予測シミュレーションのリアルさ。

可視化された情報によって、実は「言葉による予報」による勘違いや誤解などが少ないのと、山の中に入ってもリアルタイムで変化をチェック出来るのが何にも代えられなく貴重です。

名前の通り風向きを知らせてくれるアプリなのですが、風向きや風力がマクロ⇔ミクロの縮尺で一目で確認出来て、時間経過とともに推移がチェック出来ます。

また、風のみならず、「雨・雷」、「気温」、「雲」、「波」などのシミュレーションを選択出来ます。

この「Windy」のデータソースとなるのは台風の予測に関して世界的にもっとも信頼性のある機関である欧州中期天気予報センター(略称ECMWF)。かなり先までの気象解析を地球規模で行っています。

気象庁の台風進路予想は熱帯低気圧が「台風」(中心の最大風速が17m/s以上)にならないと発表されず、台風が上陸するまでに1週間を切る場合も多く、山のプランニングなどには『遅い』事も多い。

より世界的気象解析機関のデータを元に10日先までの情報が得られるwindyはこの点ありがたい。

今回、上陸の3日前にインストールしてすぐに見てみたのが下の予測でした。

このようにアニメーションで風が表現されているので、非常にイメージしやすい。

例えば、台風の移動にともなって、急に風向きが変わったりすることが画面からすぐに理解出来ます。

台風通過直後にどの地域が晴天となるのかの確認も出来ました。

被災した人たちには申し訳ないのですが、台風一過を狙って山に入るつもりの人も多いはず。台風の後とはいえ、どこでも快晴というわけにはいかないのが山の天気。ここまで分かりやすければ、目的地選定を間違える事はないでしょう。

山の中にはいってからこそ効果を発揮するwindy

特筆すべきは、山の中にはいって移動しながら、常に現在位置、目的の場所の天候シミュレーションが得られる事です。

これだけであればGPS連動の他のアプリと大差なさそうですが、使用されているマップの精度が素晴らしい。

登山GPS用マップとしても使える精度で、国土地理院の2.5万分の1図まではいかないものの、従来からある市販の登山ガイドマップなどにも引けをとりません。

ピンポイント地点の予報が出てくるところもすごい。

そしてトポが登山マップと同じように見やすいうえ、任意の気圧面での風向きや温度を確認出来る…

もう高層天気図不要のレベルです。

その外にも様々な機能があります(下記参照)。

この「Windy」、予測精度はどの程度のものでしょうか。

今回のような台風の進路や影響を把握するには非常に分かりやすいアプリでした。ですが、天気予報などに一定の興味をもつ方でなければ、そもそも「お天気アプリ」をインストールすることもないのでは、との疑問もあるのでは。

その点、登山など自分の趣味などの分野に関連して天候そのものに興味を持つことが、まず防災対策の初歩のようにも感じました。

「Windy」アプリの評判は上々のようですが、自分ではまだ実際の登山で試す前です。

近じか、ぜひ自分で検証したいものです。

(今回の台風で被災された方々たちの無事を祈って…

#Pray for Japan.  “Windy” for all who pray for Japan. )