貴重な花を探して奥三河へ
早春、寒の戻りで風が冷たい日でしたが、半日の空き時間を見つけて奥三河・面ノ木園地近くの天狗棚へ花を探して行ってきました。目的の花はネコノメソウ… でもただのネコノメではなく、『キバナハナネコノメ』を探しに。愛知・静岡県と一部周囲の県境を挟む数県にしか咲かない固有種の珍しいネコノメソウです。
まずは稲武から茶臼山方面へと登り、標高1,121mの面ノ木峠にある面ノ木第一園地へ。
すでに1,000mを超える場所まで何気に車で上がってしまうので、一気に体感温度が下がります。まして今日はしばらくぶりに冷え込んだ朝、等圧線の立て込んだ気圧配置は強風を意味していました。
案内図。愛知県では貴重な原生林が一部残っている地域。
沢沿いに遊歩道をしばらく歩くが途中から沢沿いに花を探して歩くことにしました。
さっそくネコノメソウが出迎えてくれました。名前の通り、「ネコ」に似たその姿が愛らしい小さな花ですが、山野草ファンにもハイカーにも人気。日本には14種類もあります。
こちらはアオキの実でしょうか。
沢沿いの岩には小さな白い花がたくさん咲いていました。
ユリワサビの花です。
一見、タネツケバナと似ていますが葉の形がワサビに似ているのですぐ区別はつきます。
早春の谷は一見んするとまだ冬の装いですが、足元をよく見ると、小さな花が次々と咲く… いままで見向きもしなかった小さな花たちですが、一旦興味を覚えると、一歩一歩で新たな発見が次々にあってとても楽しい。
そして、本日お目当ての花のひとつ、コガネネコノメ。
コガネネコノメの特徴はこの四角の箱の中にかわいく収まっている花。他のネコノメソウとの違いがはっきりしているのですぐに分かりますね。
キバナハナネコノメとの出会い
そして、ようやく見つけたのがキバナハナネコノメ。
今回初めて見る花です。場所は詳しく書きませんが、意外な場所に咲いていました。
沢と分かれて一般道に戻り、稲武から面ノ木峠への舗装路まで歩くと遊歩道は終わり。
舗装路を面ノ木峠へと歩いて戻ります。奥に見える井山の稜線が画面左に落ちた当たりまで約1時間。
退屈かと言えば、早春の芽吹きを楽しみながら歩けばあっという間です。
キブシ。
まるで玉すだれのように見事なキブシの樹がありました。
これはタケノコなのでしょうか?
ミツバツツジ。
天狗棚からの展望を楽しむ
面ノ木第一園地に戻ってきました。誰もいません。
時間はかなり遅かったのですが、ここからは天狗棚展望台と天狗棚の山頂を踏んでこよう。
展望台への山道も足元にはネコノメソウなどが咲き楽しい。
峠からは20分ほどで天狗棚の展望台に到着です。
少し雑林が邪魔になりますが愛知県最高峰の茶臼山と萩太郎山が見えます。その奥には南アルプス南部の巨峰がまだ雪をかぶっているのが分かります。
聖岳、赤石岳方面、ズームアップ。
展望台から少し上に上がった稜線からは恵那山も見える。
ここから天狗棚山頂へ尾根をわずかばかり歩きます。山頂は雑木に囲まれてあまり展望はよくありませんが、静かなたたずまいで落ち着く場所です。標石らしきものは見当たらず。
山野草の情報は乱獲を避けるため場所を明かさないのがマナー。もちろんネット時代ですから検索すればなにがしかの手掛かりは得られます。が、そこから先はそれなりに熱意をもって探して行かないと目的の花にはたどりつけません。
わずかな情報にわくわくして自分で探しあてる楽しみは、現代では山を満喫する一番贅沢な楽しみ方なのかもしれない。
人知れず咲く小さな花を見つけた時の嬉しさは、ガイドブックや山の記録サイトのトレースをただたどるだけの登山の何倍も大きいものです。
●奥三河に咲くホソバシャクナゲと大展望の『上臈岩(じょうろういわ)』
【ヤマレコ】
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-3058782.html