シカゴ 映画になった街でアメリカ版『聖地巡礼』を楽しむ

摩天楼の立ち並ぶ歴史のある街、アメリカ・シカゴ。

古くは世界恐慌で荒れた経済の禁酒法の時代にアル・カポネが裏で政治を牛耳っていた「ギャング」の街としてよく知られています。また、12もの銀行強盗を行なって「社会の敵No.1」としてFBIから睨まれながらも、紳士としての節度で名をはせ大衆にも人気があったジョン・デリンジャーが命を散らした街でもあります。

ギャングや銀行強盗がシカゴを舞台にしたのは、ひとえにこの街が金融や経済の中心として大きく栄えた裏返し。

天を突く摩天楼のビル群、大都市に集う人々の欲望を飲み込んだ夜の裏路地、西部に伸びた鉄道の重要な中継点セントラル駅 …この街は全てが絵になる。

時代が変わっても成長するシカゴ。現代でも新しい建造物が次々と天に向かって伸びて行く様は変わらない。

そのため映画の撮影にも何度も使われた場所がいくつも有ります。映画大好き人間の私、せっかくシカゴに来たのだから是非それらをまわりたい!さあ、行くぞっ。

ケビン・コスナーのデビュー作、映画「アンタッチャブル」のシカゴ

シカゴを舞台にした映画でまず筆頭に上がる映画は? と聞くと映画好きなら十中八九、この映画の名前をあげるでしょう。

そう、アル・カポネに戦いを挑んだ勇敢な男たちを描いた「アンタッチャブル」(1987年 パラマウント映画)。

正義感溢れる主役の財務省捜査官、エリオット・ネスを演じたケビン・コスナーにシビれた人も多かったはず。彼が率いるチームは収賄を敢然として拒否、社会正義を貫き「アンタッチャブル」(手出しできない連中)と呼ばれました。

クライマックスで、全ての証拠を握るカポネの会計士が列車で逃亡を計る。それを待ち伏せするアンタッチャブルの生き残り2人。手に汗握る会計士確保シーンの舞台となったのが、長距離旅客鉄道が乗り入れるシカゴ・ユニオン駅です。待ち伏せするネスの前を通る乳母車と大きな荷物を抱えた女性。階段を降りようとして荷物と赤ん坊を乗せた乳母車を引く彼女を見かねたネス。(困っている人を目の前にして、任務を大事にしながらも手を差し伸べるネスの正義感に萌える) が、階段を乳母車を引きながら下りていくネスの横を慌ただしく駆け上がるのは待っていたカポネの会計士…

階段の下で目を光らせていた用心棒がネスの後姿に気づく。

その瞬間、乳母車から手を離し、振り向きざまに用心棒を撃つネス。始まる銃撃戦。飛び交う銃弾の中を、赤ん坊を乗せた乳母車はネスの手を離れてカタン、カタンと1段づつ転がり落ちて行く。

それを追うスローモーションのカメラ。緊迫したシーンに優しげなオルゴールのメロディが淡々と流れる不思議な感覚。上がる血しぶき、倒れるカポネの用心棒たち…

一瞬たりとも目を離せないシーン、映画史上に残る場面がこの階段で撮影されました。

ケビン・コスナーもカッコいいが、何と言ってもアンディ・ガルシア演じるアンタッチャブルのメンバー、射撃の名手ストーンの姿が目に焼き付いて離れない、この緊迫したシーンのエンディング!

未見の方は是非ビデオで見てください。どうしてもここに来たかった理由が分かります。

アンタッチャブル関連で引き続いての建物。リグレービル。映画ポスターにも映っています。実はチューインガムの会社本社。

ケビン・コスナーの後ろ、左下のビル。すぐ分かりますね。

★ワーナーホームビデオ『アンタッチャブル』

お次は「ホームアローン2」やハリソン・フォード版「逃亡者」が撮影されたヒルトンシカゴ。グラントパークの側で一際目を引く存在です

このホテルは「西のホワイトハウス」と呼ばれる豪華な内部装飾で彩られています。とても泊まれませんが、中は自由に見学出来ました。

完全に破壊されるシカゴの街

そして、この高層ビル。誰がオーナーか、見ればすぐに分かりますね。

そう、アメリカ大統領トランプ氏の所有するトランプタワーです。正しくは「トランプ・インターナショナル・ホテル・アンド・タワー」。ニューヨークにあるトランプタワーとは別のビルですが、こちらの方が高く、415メートル。全米で3番目に高い建物。

凍りついたシカゴ川の向こうに、冬の青空の中、高々とそびえ立つ威容。

こんな高いビルの高層階を舞台に、2度にわたりロープの上でのアクションや、空中戦が繰り広げられたのが、「トランスフォーマー ダークサイドムーン」と「トランスフォーマー 最期の騎士王」。地球の人間たちを奴隷として送り込み、瀕死の故郷の星を復活させる計画を進めるメガトロン率いる悪のトランスフォーマー、デセプティコン。彼らがその拠点としていたのがこのビルです。シカゴは映画の中で2度にわたって戦場となり、正義のトランスフォーマー、オプティマス・プライム率いるオートボットによって解放されます。

映画にはシカゴ市内の高層ビルが何度も映し出され、ストーリーを追うのも忘れてビデオを何度も戻して確認しました。

まだまだシカゴを舞台にした映画はある。

「スパイダーマン2」、「Shall we dance? (アメリカ版)」、そしてちょっと古いがこれをヌキには語れないシカゴ舞台の映画決定版「ブルースブラザーズ」… 語り出したらキリが無いのが映画のシカゴ。

大人ばかりでなく、トランスフォーマーを持ち出せば、子供も喜んでシカゴまでついて来るかもしれません。ニューヨークなどと違って足で回れる程よいサイズの見どころが集まっている。旅の目的地としておススメする大きな理由です。

アメリカ版「聖地巡礼」、映画ロケ地を巡るシカゴの旅、オツです。